「踏絵」と「絵踏」について(社会)

2023/08/07

夏期講習中に中3生から以下の質問を受けました。
「歴史の問題で、キリスト教徒の取り締まりのため、イエス・キリストやマリアの像や絵を踏ませ、踏むことを拒んだり、ためらったりした者を信徒として処罰したことを「踏絵」と入力したら不正解で、正解は「絵踏」と出たんですが、間違っているんですか?」

「踏絵」で正解だと私も思ったのと同時に「絵踏」(えふみ)って何だって思いました。
私自身は、日本史が比較的好きだったし、大学受験のときの共有テスト(むかしの共通一次テスト)でも日本史を選択していたため、比較的知識はあるほうだと思っていたのですが、「絵踏」という言葉はあまり聞いたことがないように思いました。

別の生徒から絵を踏む行為は「絵踏」で、その絵のことを「踏絵」って習ったと聞いたのですが、まったく覚えがありませんでした。

歴史のことだから、もしかすると用語が変わったのかと思い、ちょっと調べてみました。
結果としては、やはりむかしは「踏絵」(※「踏み絵」と表記されることもあり)として、踏む行為のことを呼んでいたようですが、今では踏む行為のことは「絵踏」(※「絵踏み」と表記されることもあり)として記載されるようになったようです。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目辞典 「絵踏み」の意味・わかりやすい解説より引用

 江戸時代、幕府がキリスト教禁止の手段として、長崎などで正月4日から8日まで、聖母マリアやキリスト像を彫った木板・銅板などを踏ませて教徒でないことを証明させたこと。→踏み絵
 「踏み絵2」に同じ。
[補説]1で、もとは、踏ませた絵や像を「踏み絵」といい、踏む行為を「絵踏み」といった。踏む行為を「踏み絵」とするのは本来は誤り。

世田谷区で使用されている歴史の教科書の販売元である「東京書籍」のページにも、改訂についての内容が記載されていました。

教科書・図書教材 よくあるご質問Q&A(東京書籍)より引用
(7)「踏絵」→「絵踏」(p.117)
 禁教令が出されて以降の、幕府のキリスト教徒取り締まりの過程で行われた行為については、従来は「踏絵」という表記をしてきましたが、実際には、踏ませたものと、その行為自体の呼称が異なっていたという点から、踏ませる行為を「絵踏(えふみ)」、踏ませるものを「踏絵」と区別して表記し、正確を期した表現としました。

解釈が変わったり、新しい発見があったり、特に歴史は教科書の内容も改訂されることが多いので、あらためて現在の教科書を読み直してみようと思っています。

ご参考まで。

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