ちなみに「領空」の定義ですが、こちらは定義が難しいようです。
1967年に発効した「宇宙条約」では、宇宙空間の領有が禁止されています。
よって、地表(領海上は水面)から宇宙空間に至るまでの空間が領空となります。
では、宇宙空間はどこから始まるのでしょうか。実は、宇宙空間を定義することは領空の上限を定義することになるため、各国の利害関係から明文化された国際条約は存在しません。
一般的には「地球の大気圏の外側が宇宙空間」とされますが、どこまでを大気圏とするかもとらえ方によって異なります。そのため、1950年代に宇宙開発が始まったときに国際航空連盟という民間団体が、地上から100kmを宇宙空間と大気圏の境界線と定義しました。
これはロケットや人工衛星が地球大気圏を脱出するための軌道速度(宇宙速度)を計算する際に、高度100kmが基準として用いられたとのことです。この境界線は「カーマンライン」とよばれ、現在に至るまで大気圏と宇宙空間との境界線の定義として、様々な分野で活用されています。
結論として、領空の高さについても「カーマンライン」が慣習的に用いられ、領土・領海の上空で宇宙空間に至るまでの大気圏、つまり高度100kmまでの空間が領空であるとされています。
※「帝国書院 領空の高さはどこまでですか。」より引用
排他的経済水域(EEZ)とは
2022/11/15
最近、北朝鮮からのミサイル発射の頻度が増えており、その着弾点についてのニュースが取り上げられること多いかと思います。
その影響力として、よく引用されるのが「EEZ」内か外か?
この「EEZ]とは何なのでしょうか?
「EEZ」とはExclusive Economic Zoneの略称で、日本語では「排他的経済水域」と呼ばれています。
正式には、「海洋法に関する国際連合条約」で設定されていて、天然資源及び自然エネルギーに関する「主権的権利」、並びに人工島・施設の設置、環境保護・保全、海洋科学調査に関する「管轄権」が及ぶ水域のことを示すそうで、領海の基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域(領海を除く。)並びにその海底及びその下までとされています。
排他的経済水域においては、以下の権利、管轄権等が認められています。
1.天然資源の探査、開発、保存及び管理等のための主権的権利
2.人工島、施設及び構築物の設置及び利用に関する管轄権
3.海洋の科学的調査に関する管轄権
4.海洋環境の保護及び保全に関する管轄権
この「管轄権」とは、国家がその国内法を一定の範囲内にある人・物などに対して具体的に適用し行使する権利のことを言います。
ちなみに、”排他的”とは、「部外者を排斥して退けるという意味で、自分や自分が属している仲間、組織などから外部の者を退けて受け入れないこと」を示しています。
要するに「ある国家の国内法が行使できる権利を行使できる領域」ということになるでしょうか。。
ちなみに他の用語の定義は、以下のとおりです。
・領海
領海の基線からその外側12海里(約22km)の線までの海域です。
沿岸国の主権は領海に及びますが、すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有します。
・接続水域
領海の基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域(領海を除く。)で、沿岸国が、自国の領土又は領海内における通関、財政、出入国管理(密輸入や密入国等)又は衛生(伝染病等)に関する法令の違反の防止及び処罰を行うことが認められた水域です。
・公海
いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分に適用されます。
公海はすべての国に開放され、すべての国が公海の自由(航行の自由、上空飛行の自由、漁獲の自由、海洋の科学的調査の自由等)を享有します。
図表出典:海上保安庁ホームページ「日本の領海等概念図」
(https://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/ryokai_setsuzoku.html)
弾道ミサイルの高度は、数百kmから1,000km以上と言われていて、上記の定義だと、北朝鮮から発射されたミサイルが日本列島を飛び越えて通過した場合でも、領海・領空外は通過していないという解釈もできなくはありませんが、当然、落下の可能性もあり、到底許されることではなく、領土の上空をミサイル通過させることが許容されるとは考えられないと思います。
現在、「ミサイル防衛システム」や「敵基地攻撃」能力についての議論が出ているようですが、憲法的な問題もありますし、より緊張が高まってしまう可能性もあり、非常に難しい問題だと思います。
ご参考まで。
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