都議会議員をやめさせる方法は?
2021/11/13
中学3年生は、公民の学習にて、国のしくみに続いて、地方自治のしくみも学習しているところかと思います。
東京都の都議選の期間中に無免許運転で当て逃げ事故を起こした木下富美子都議(55)が都議から辞職勧告を二度受けているにもかかわらず、強制力はなく、議会を欠席している間も給与が支払われているといいます。
なぜ、こんな理不尽が通るのか、少し調べてみました。
まず、東京都議会議員の待遇等については、法的には「地方自治法」が適用されるかと思います。
地方自治法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067
都議を辞めさせる方法は大きく2つの方法があります。
「除名」処分と住民投票による「リコール」となりますね。
まずは、「除名」について。
地方自治法では第134条から第137条に記載されているようです。
以下、地方自治法より抜粋
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第十節 懲罰
② 懲罰に関し必要な事項は、会議規則中にこれを定めなければならない。
一 公開の議場における戒告
二 公開の議場における陳謝
三 一定期間の出席停止
四 除名
② 懲罰の動議を議題とするに当つては、議員の定数の八分の一以上の者の発議によらなければならない。
③ 第一項第四号の除名については、当該普通地方公共団体の議会の議員の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意がなければならない。
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懲罰には、4つの懲罰区分があり、最もきびしいものが「除名」となっているようです。
「除名」は議員の三分の二以上が出席し、そのうち四分の三以上の議員が同意すれば、成立するようです。
今回の場合、このような措置がとれそうですが、”この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した”
という条件がついているため、今回のケースは該当しないと考えられているのではないでしょうか?
もう一つの解職の方法「リコール」についてです。
こちらは、地方自治法の第80条から第83条あたりに記載されているようです。
以下、地方自治法より抜粋(※一部、説明が長文に渡るため、削除した部分あり)
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第八十条 選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、所属の選挙区におけるその総数の三分の一(・・略・・)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該選挙区に属する普通地方公共団体の議会の議員の解職の請求をすることができる。
第八十三条 普通地方公共団体の議会の議員又は長は、第八十条第三項又は第八十一条第二項の規定による解職の投票において、過半数の同意があつたときは、その職を失う。
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要するに有権者の三分の一以上の連署(署名)にて、解職の請求ができ、これをもとに実施される住民投票にて
過半数の同意があれば、議員を失職させることができるということになります。
ただ、現状では、これだけの署名数を集めること自体がかなり困難であり、仮に署名を集められたとして、過半数の同意(投票数)を得ることはかなり難しいように思われます。
また、そもそも実は下記のような規定があります。
第84条からの抜粋になります。
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第八十四条 第八十条第一項又は第八十一条第一項の規定による普通地方公共団体の議会の議員又は長の解職の請求は、その就職の日から一年間及び第八十条第三項又は第八十一条第二項の規定による解職の投票の日から一年間は、これをすることができない。
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議員を安易に解職できたいための条件だとは思いますが、1年間は解職請求できないということが記載されていてあまりにも理不尽だと思います。
個人的には、わざわざ「リコール」しなくても、議会の決議として、このような議員は解職できるように地方自治法を改正すべきではないでしょうか?
※下記の2条項を改正すべきでは!!
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第百三十四条 普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。
→ 第134条の違反内容の条件を削除
→ 第84条は全文削除
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「地方自治法」は国が定めた法律で、所管官庁は総務省かと思いますが、今回の案件では、東京都議会、あるいは全国自治会連合会のようなところから働きかけて、法律を改正するというような流れになるのでしょうか?
(私は法律の専門家ではないので、細かいルールはわかりませんが・・・)
今回の案件をもとに、今後も同じような事象が発生しないように、ぜひ「地方自治法」を改正してもらいたいですね。
あくまで私見ですが・・。
ご参考まで。
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